火害調査・診断(火災にあった構造物の調査・診断)
火災にあった鉄筋コンクリート造(鉄骨鉄筋コンクリート造を含む)、鉄骨造構造物の再利用の可否を判断するために被災状況などを明らかにします。
調査・診断は、(一社)日本建築学会「建物の火害診断および補修・補強方法指針・同解説」に従って実施します。また、お客様のニーズに応じて、最新の研究に基づき同指針に掲載されていない調査方法を提案することも可能です。
鉄筋コンクリート造建築物
火害調査のフロー
調査はフローに従って行います。
主な調査方法(各調査の実施状況については、わかりやすい試験シリーズを参照)
一次 調査 |
必須 項目 |
目視観察、打音検査 | 構造部材のコンクリート表面の変色やすすの付着、ひび割れ等の状況を目視観察します。また、ひび割れが認められる箇所についてはハンマーで打診し、コンクリートの浮きの有無を確認します。 |
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状況に 応じて 選択 |
反発度測定 | リバウンドハンマーを用いてコンクリート表面の反発度測定(JIS A 1155)を行い、火災の影響を受けている箇所と受けていない箇所の測定結果を比較します。 | |
機械インピーダンス測定 | 打撃装置を用いてコンクリート表面を打撃し、打撃力の時間波形の測定、解析(NDIS3434-3)を行い、火災の影響を受けている箇所と受けていない箇所の測定結果を比較します。 | ||
色彩測定 | 分光測色計によりコンクリート表面の色を測定し、変色の状況からコンクリート表面の受熱温度推定に使用します。 | ||
引っかき傷幅の測定 | コンクリート表面に塗料を付け、一定の荷重をかけて引っかき傷を加えた後、ルーペおよびクラックスケールを用いて測定した引っかき傷幅から、コンクリート表面の被害状況を推定します。 | ||
二次 調査 |
状況に応じて選択 | コンクリートコアによる圧縮強度試験・静弾性係数試験 | 火災の影響を受けている箇所より採取したコンクリートコアを用いて圧縮強度試験(JIS A 1107)を行い、火災の影響を受けていない箇所の試験結果や設計基準強度と比較します。 |
UVスペクトル法、過マンガン酸カリウムによる酸素消費量の定量分析 | 火災の影響を受けている箇所より採取したコンクリートコアに対し、UVスペクトル分析および過マンガン酸カリウムによる酸素消費量の定量分析を行い、コンクリートに含まれている混和剤に着目し得られる分析結果から、コンクリートの受熱温度を推定します。 | ||
鉄筋の引張試験 | 火災の影響を受けている箇所より採取した鉄筋を用いて引張試験(JIS Z 2241)を行い、鉄筋の機械的性質の低下の有無などを確認します。 | ||
梁・スラブのたわみ測定 | 火災の影響を受けている梁やスラブなどの水平部材について、レベル測定器などを用いてたわみ量を測定し、火災による過大なたわみの有無を確認します。 | ||
コンクリートコアの多点ひずみ測定 | 火災の影響を受けている箇所より採取したコンクリートコアを用いた圧縮強度試験に際して、深さごとのひずみを測定することにより、コンクリートの劣化深さを推定します。 |
鉄骨造建築物
火害調査のフロー
調査はフローに従って行います。
主な調査方法(各調査の実施状況については、わかりやすい試験シリーズを参照)
一次 調査 |
必須 項目 |
目視観察 | 構造部材の鉄骨表面の塗料の状態等の被災状況を目視観察します。 |
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二次 調査 |
状況に 応じて 選択 |
変形量の測定 | 柱の倒れ量や梁のたわみ量を測定し、火災による過大な柱の倒れ、梁のたわみの有無を確認します。 |
鋼材の引張試験 | 火災の影響を受けている箇所より採取した鋼材を用いて引張試験(JIS Z 2241)を行い、鋼材の機械的性質の低下の有無などを確認します。 | ||
小型試験片を用いた鋼材の引張試験 | 火災の影響を受けている箇所より採取した直径30mm程度の鋼材を加工し、JIS Z 2241を参考として引張試験を行うことで、鋼材の機械的性質の低下の有無などを確認します。 | ||
高力ボルトのロックウェルC硬さ試験 | 現地で採取した高力ボルトセットを用いてロックウェルC硬さ試験(JIS Z 2245)を行い、火災の影響を受けている箇所と受けていない箇所の測定結果を比較することで、受熱温度を推定します。 |