非接触3Dひずみ計測システム「VIC-3D」導入のお知らせ
耐震耐久性調査室では、日本建築学会「建物の火害診断および補修・補強方法 指針・同解説」にもとづいた火害調査を実施しています。近年、被災した鉄筋コンクリート造建築物の火害調査において、「コンクリート部材の火害劣化深さの特定」がお客様のニーズとして高まってきました。
このような背景のもと、火害調査や関連する自主研究に利用することを主目的として、非接触3Dひずみ計測システム「VIC-3D」(以下、VIC)を導入いたしました。
VICは、デジタル画像相関法により測定面の三次元形状、変位とひずみ(縦ひずみ、横ひずみ、せん断ひずみ)を計測するシステムです。測定面に塗布したランダムパターンの経時変化を二台のカメラで撮影し、その撮影画像データから三次元形状、変位とひずみを算出します。これまで、コンクリートの強度試験におけるひずみ計測では、事前に計測位置を決めて、ひずみゲージの貼付けや変位計の設置を行うなど、準備に時間と手間がかかっていました。今回導入したVICでは、計測位置の制約や複数の手間がなくなります。VICは、撮影した画像データからひずみを算出しますので、ランダムパターンを塗布した範囲であれば、試験後に任意の点のひずみを求めることが可能です。そのため、劣化範囲が明確でない火災に被災したコンクリート等のひずみの算出に適しています。
一例として、被災したコンクリート部材から採取したコンクリートコアの圧縮強度試験時の縦ひずみ分布を右図に示します。同図より、縦ひずみは火災を受けた面(火害部)に近い範囲では大きく、内部の範囲では小さくなっていることが分かります。
VICを用いた変位やひずみの計測は幅広い分野で適用されており、コンクリート以外の材料では樹脂や金属などの実績が多数あります。試験研究センターでは、火害調査以外にも、材料試験等に幅広く利用していきたいと考えています。