風洞試験
建築物周辺の風の挙動、建築物に作用する風力、風による建築物の振動等を知るために縮小模型を用いて風洞試験を行っています。
超高層建築物、大スパン屋根構造物、および軽量でフレキシブルな煙突、鉄塔などの構造物は、風による影響を受けやすく、正確な風荷重を予測して確実な耐風設計を行うことが重要です。広告板や太陽電池パネルなどの建築物に付属する工作物も強風被害を避けるために、正確な風荷重を知る必要があります。当部門は建築物や工作物の風荷重を設定するための風圧係数や風力係数の測定の他、高層建築物周辺のビル風の予測や、高層建築物の風揺れによる居住性の評価などを行っています。また、風環境の実測調査も行っています。
風洞実験内容
風環境実験
本実験では建物周辺の風向・風速の測定を行い、最寄りの気象観測所における気象データと合わせて建物建設前後の風環境を予測します。
また、建物の建設により風環境の悪化が予測される場合には有効な対策案を検討します。
風環境数値流体解析
コンピュータシミュレーションにより、市街地の風環境を予測します。
CADデータをもとに、計画建物や周辺市街地のモデル空間を作成し、シミュレーションを行います。
なお、建物の詳細形状は省略されますが、建物規模の大きな変更でも容易に行えるため、プロジェクト初期段階での検討などに適しています。
風圧実験
本実験では建物壁面に風圧測定孔を設けた模型を用いて壁面の風圧分布を把握することを目的としています。また、実験結果をもとに外装材設計用風荷重や構造骨組風荷重の算定を行います。
風圧実験の流れ風力実験
建物全体に作用する風力を測定し、構造骨組用風荷重の検討資料を得ることを目的とします。また、風力の測定結果を解析して建物の風による振動の予測・居住性能の評価も行っています。
空力振動実験
空力振動実験装置を用いて、風による建物の振動応答を直接測定し、建物の振動性状の把握と空力安定性の検討を行います。
静止模型を用いた風力実験とは違い、建物が動くために生じる付加的な風力も外力として作用した状態での応答が測定されるため、大変形により構造物に作用する風力の変化が発生する場合の応答予測に対応できるものです。
実際の建物についての実測調査
風洞実験だけでなく、実際の建物について、屋外における風向・風速、建物の風振動時における加速度などの実測調査も行っております。