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一般財団法人 日本建築総合試験所

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床材の床衝撃音低減性能の等級表記方法(ΔL等級)について

床材の床衝撃音に対する低減性能を等級表記する方法として、現在「ΔL等級」が広く使われています。
ここでは、ΔL等級の内容と関連情報についてご紹介します。

ΔL等級とは

床材の床衝撃音に対する低減性能を等級表記する方法として、現在「ΔL等級」が使われています。
「ΔL等級」は、実験室で測定された周波数帯域ごとの床衝撃音レベル低減量の値をもとに、床材の床衝撃音低減性能の高低を等級として表記するものです。「ΔL等級」は「デルタ・エル・トウキュウ」と読みます。
測定される2種類の床衝撃音に応じて、軽量床衝撃音レベル低減量についてはΔLL等級、重量床衝撃音レベル低減量についてはΔLH等級が、それぞれ表示されます(表1参照)。
軽量床衝撃音のΔLL等級ではΔLL-1~5の5段階、重量床衝撃音のΔLH等級ではΔLH-1~4の4段階の等級が設定されており、両等級とも等級の数字が大きいほど床衝撃音低減性能が高いことを表します。

表1 床衝撃音の種類とΔL等級の設定
床衝撃音の種類 軽量床衝撃音 重量床衝撃音
等級
(読み方)
ΔLL等級
(デルタ・エルエル・トウキュウ)
ΔLH等級
(デルタ・エルエイチ・トウキュウ)
等級の設定 ΔLL-1~5等級 ΔLH-1~4等級

等級表記指針の策定(2008年)について

床衝撃音レベル低減量の測定方法を定めたJIS規格が2007年10月に改正されたことを機会に、それまで使われていた推定L等級に代わる、新たな床衝撃音低減性能の等級表示を導入しようとの機運が、各種床仕上げ構造の関係者において高まりました。
当財団では、床材関係の3工業会(日本乾式遮音二重床工業会、発泡プラスチック床材研究会、日本防音床材工業会)からの第三者による検討の要請を受けて、『床材の床衝撃音低減性能の表現方法に関する検討委員会(委員長:井上勝夫/日本大学理工学部教授)』を設置し、2007年10月より2008年1月にかけて、床衝撃音低減性能の適切な表現方法のあり方についての検討を行いました。その成果として、2008年4月に「床材の床衝撃音低減性能の等級表記指針」が策定されました。
ΔL等級の表記方法は、上記の指針に基づくものです。詳しくは、下記リンクの「床材の床衝撃音低減性能の表現方法に関する検討委員会報告書」および「床材の床衝撃音低減性能の等級表記指針」をご参照下さい。

床材のカテゴリー分類

床衝撃音低減性能の評価対象となる床材には、材料や構造など様々な種類の製品があります。
床材の材料・構造の種類が異なると振動伝達性状も異なるため、実験室での床衝撃音レベル低減量の試験方法も床材の特徴に応じて規定されています。この床材の種類のことを「カテゴリー」と呼びます。現在実験室で試験されている床材のカテゴリー分類の例を表2に示します。

表2 床材のカテゴリー分類の概要
  カテゴリーⅠ カテゴリーⅡ
床材の特徴
  • 面内方向への振動伝達の影響が無視できる。(小試料でも試験可能)
  • 平面的に均質である。
  • 面内方向への振動伝達の影響が大きい。(実験室の壁際までの施工が必要)
  • 平面的に均質ではない。
具体的な床材の例
  • カーペット、塩ビシート
  • 直張り防音フローリング
  • 乾式二重床
  • 発泡プラスチック床
  • 浮き床、畳
使用する試験室
  • 残響室
  • 壁式構造による実験室
  • 壁式構造による実験室(残響室では不可)

なお、床材のカテゴリーにより実験室での床衝撃音レベル低減量の試験方法も異なります。
このため、ΔLL等級・ΔLH等級を表記する際にも床材のカテゴリーを括弧書きで区別します。具体的には、カテゴリーⅠの場合には「ΔLL(Ⅰ)-○等級」、カテゴリーⅡの場合には「ΔLL(Ⅱ)-○等級、ΔLH(Ⅱ)-○等級」のように表記します。

ΔLL等級の基準

軽量床衝撃音に対する低減性能の等級として、ΔLL等級があります。
実験室で測定された軽量床衝撃音レベル低減量が表3の基準(下限値)を満たすとき、その床材には該当するΔLL等級が表記できます。

表3 ΔLL等級に関する軽量床衝撃音レベル低減量の基準値
表記する等級 軽量床衝撃音レベル低減量の下限値
125Hz帯域 250Hz帯域 500Hz帯域 1kHz帯域 2kHz帯域
ΔLL-5 15dB 24dB 30dB 34dB 36dB
ΔLL-4 10dB 19dB 25dB 29dB 31dB
ΔLL-3 5dB 14dB 20dB 24dB 26dB
ΔLL-2 0dB 9dB 15dB 19dB 21dB
ΔLL-1 -5dB 4dB 10dB 14dB 16dB

なお、床材の軽量床衝撃音レベル低減量は、JIS A 1440-1に基づいて標準軽量衝撃源(タッピングマシン)を使用して測定され、上表の下限値を0.1dB単位で満たす必要があります。

ΔLH等級の基準

重量床衝撃音に対する低減性能の等級として、ΔLH等級があります。
実験室で測定された重量床衝撃音レベル低減量が表4の基準(下限値)を満たすとき、その床材には該当するΔLH等級が表記できます。

表4 ΔLH等級に関する重量床衝撃音レベル低減量の基準値
表記する等級 重量床衝撃音レベル低減量の下限値
63Hz帯域 125Hz帯域 250Hz帯域 500Hz帯域
ΔLH-4 5dB -5dB -8dB -8dB
ΔLH-3 0dB -5dB -8dB -8dB
ΔLH-2 -5dB -10dB -10dB -10dB
ΔLH-1 -10dB -10dB -10dB -10dB

なお、床材の重量床衝撃音レベル低減量は、JIS A 1440-2に基づいて標準重量衝撃源(衝撃力特性(1)のタイヤ衝撃源=バングマシン)を使用して測定され、上表の下限値を0.1dB単位で満たす必要があります。

GBRC業務説明会(2012年開催)の資料より


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