技術監修、技術支援
被災した建築物や維持保全が必要な建築物の補修・補強等に関しては、妥当性を判断するためのルールが明確でないことが多く、建築に関する専門知識を持たないエンドユーザーにとって、設計施工者等から提案された補修・補強等の計画が適切なものかを判断することは非常に困難です。また、設計施工者等にとっても、補修・補強等の計画に高度な知識や技術を必要とする場合には、計画立案が困難な場合があります。
このような背景を受け、当法人では設計施工者等が作成した技術資料の妥当性を検証する「技術監修」や、設計施工者等の技術資料作成に技術的なサポートを行う「技術支援」を行っております。
技術監修
設計施工による不具合が判明した建築物や被災した建築物などに対して、設計施工者等が立案した補修・補強等の計画などの技術資料の妥当性を当法人が公正中立な第三者の立場で検証することで、建築物を使用するエンドユーザーの安心につなげます。また、施工に関する第三者確認も行っています。
技術支援
歴史的・文化的価値の高い建築物や構造が複雑な建築物の維持保全については、調査・診断や補修・補強等の計画に高度な技術判断が必要となる場合があります。このようなケースにおいては、当法人が調査・診断や補修・補強等の計画立案段階から設計施工者等への技術的なサポートを行うことで、信頼性の高い調査や補修・補強等の計画立案につなげます。また、施工に関する第三者確認も行っています。
受託体制
業務の体制としては、以下の2種類があります。いずれも当法人内の4センターの連携により、迅速で的確な審査が可能です。
<既往の基・規準、指針や研究成果など判断基準が明確なもの>
当法人の職員が審査します。
<高度な技術判断を必要とするもの、社会性の高い問題>
当法人役職員と外部の学識経験者から構成される委員会を組織して対応します。
技術監修、技術支援で受託した事象の例
コンクリート工事での不具合 | 構造スリットの未設置・変形、コンクリート充填不足、 コンクリート中の異物混入、かぶり厚さ不足、各種要因のひび割れ、あと施工貫通孔による鉄筋切断 |
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鉄骨工事での不具合 | 溶接部不具合、柱の傾斜、温度変化による部材の破断、耐震補強時の施工不具合 |
上記以外の工事での不具合 | 孔壁崩壊、杭頭破損 |
設計図書と実建物との不整合 | 小梁位置、基礎・柱・耐震壁の配筋 |
台風被災後の補修・補強計画 | 屋根・手すりの補修、再施工 |
火害診断後の補修・補強計画 | 柱・梁・耐震壁・スラブなどの補修、再施工 |
漏水原因究明、補修計画 | 躯体、シーリング材など |
歴史的・文化的価値の高い建造物の保全計画 | 保全のための調査計画、補修計画 |
技術監修、技術支援の費用
費用は以下のような要因によって変動します。
案件ごとに内容を考慮して決定しますので、事前にご連絡ください。
- 不具合の種類および数量、対象範囲の面積
- 不具合の対策の難易度および特殊性
- 学識経験者による委員会設置の要否
- 建築物の所在地、現場確認の必要回数
- 業務の緊急性、社会的影響度
- 説明の程度、説明会の頻度 など
なお、これまでの受託実績からみた費用の目安としては、100万円未満が約4割、100万円台が約4割、200万円台が約1割、300万円以上が約1割となっています。