かぶりコンクリートの鉄筋腐食抵抗性能の評価に関する研究
ドリルPR試験法
本試験は、コンクリート構造物の竣工時における耐久性能検査として、コンクリート表面に設けたドリル孔より得られた透気性(Permeability)と比抵抗(Resistivity)の各特性値を組み合わせ、かぶりコンクリートの鉄筋腐食抵抗性能を評価する方法である。
コンクリートの現場透気性試験
コンクリートの透気性は、構造体コンクリートの耐久性を左右する性質の一つである。本試験法は、ドリル削孔法のひとつであるFigg法を基に、笠井らが改良した日大法※1を引用しており、コンクリート表面に削孔したドリル孔(直径10mm,深さ50mm)を用いて、孔内を減圧した後、孔の周壁からの空気の流入によって真空度が低下(21.3~25.3kPa)する時間を計測し、簡易透気速度を求めるものである。
コンクリートの比抵抗試験
コンクリートの比抵抗(電気抵抗)は、コンクリートの含水率や塩化物イオン等の塩類含有量などに依存しており、鉄筋腐食環境を評価する特性値の一つである。本試験法では、四電極法(Wenner法)※2の一部を改良し、削孔したドリル孔内(簡易透気試験と同寸法)にステンレスブラシ電極を挿入して、比抵抗を求めるものである。
試験結果の評価(案)
本試験は、現場透気性試験によってかぶりコンクリートの粗密の程度を定量化し、また比抵抗試験によって、現場透気性試験におけるコンクリートの含水率の影響度合いと、腐食電流の流れ易さの程度を定量的に捉えることができると考えており、これら両特性値を組み合わせ、かぶりコンクリートの物理的な鉄筋腐食抵抗性能を評価する等級区分を提案している(右図参照)。
参考文献
- 笠井芳夫・松井勇・湯浅昇・野中英:ドリル削孔を用いた構造体コンクリートの簡易透気試験方法(その1)~(その2),日本建築学会学術講演梗概集A-1,pp.699-702,1999
- 武若耕司:コンクリートの非破壊検査方法(原理と手法)-鋼材腐食-,特集※コンクリートの非破壊検査/3.8,コンクリート工学,Vol.27,No.3,pp.69-74,1989